スピーカーボックス(エンクロージャー)
スピーカーは15インチのウーハーとTWの2ウェイスピーカー
ユニットはビンテージのWharfedale
このメーカーはあまり知られていないかもしれません。
エンクロージャー(箱)はビンテージに相応しくするため
フェイス部分はウォールナットの無垢材で、
内部や構造部分はMDFボードや積層パネルを使用しました。
組み立てはサネ加工を用い接着剤とビスで接合しますが、
共振部分等にはブチルシートや吸音材を施しました。
制作で難しかったのは「補強をどのようにレイアウトするか」という問題でした。
ユニットがマウントされるバッフル面は数種類のユニットが装着できるよう何枚かのバッフルを用意し、取り外し可能なタイプとなりました。
この時点で形も何となくスピーカーらしく整いました。
こちらのスピーカーのご要望ははコーナー型の箱で、部屋の隅に設置するタイプの為、周りとの共振も考えての作りとなりました。この際に考慮しなくてはいけないのは「部屋の構造」。またスピーカーにもできる限りの対策が必要であり、その一つが「補強」でした。
入れすぎても少な過ぎても駄目なので、音を出してセッティングです。
この画像より、実際はもう少し補強を加えましたが、非常に重たくなりました。その次に底板、天板、側板の加工に入ります。
ここからはあと完成まで2割の作業。エンクロージャー完成後にはサランネットを貼る化粧フレームを製作します。通常、こちらは建具屋さんが制作する事が多いと思いますが、弊社では工房内で自社制作します。
長ホゾや伝統的な接合方法で組み立て、後はオイルフィニッシュ、そしてサランネットを貼りこむ制作フローです。
スピーカーの完成です。ご指定いただきました4種類のビンテージスピーカーユニットをはめ込む為、
脱着可能なバッフルを3パターン、計6枚制作したオーダーメイドのスピーカーエンクロージャーです。
ウォールナットの質感や、サランネットの質感もビンテージに相応しい感じに仕上がりました。
オーナー様には制作過程で何度かお越し頂いており、こちらの完成を非常に喜んでくださいました。
寸法もかなり大きく、重量も一人では持てないほど。内部も音質重視の工夫がいっぱいで、接続された音を聴くのが楽しみいっぱいな完成直後。
弊社にも、JBLの大型スピーカーを所有しておりモディファイを重ね音を改良していますが、音の世界は写真等と同じような感覚があり、答えの無い世界にも思えます。また、音質も大事ですが、ビジュアルも非常に大事なポイントでもあります。
完成後は納品させて頂き、音を出しながら内部のセッティングを煮詰めます。
納品し、試聴をご一緒させて頂きましたが、40年前のスピーカーユニットでよくここまでの音を出す為のセッティングをされているというお言葉をいただきました。
低音から高音までストレスの感じない質感は、このユニットの性格を完全に把握されたオーナー様しか出来ない技。ネットワークももちろん手造りで素晴らしいものでした。
アメリカンビンテージユニット、それに合うエンクロージャーを製作。
単なる箱ではなく、音を生かした設計の必要があります。
大変気に入っていただきました。
サイズ | W1000×D600×H1200 |
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材料 | ウォルナット |
仕上げ | オイルフィニッシュ |